女性向け通販プロデュースを務める株式会社グローアップマーケティング代表・谷本理恵子氏の『ネットで「女性」に売る 数字を上げる文章とデザインの基本原則 』(MdN)を読了。女性向けの商品を取り扱う人は必見の一冊となっていました。
男と女の考え方の違い
男性と女性では「購買行動」に違いがある
最近では男女を差別しないように「男女差別」という意識が高まりつつありますが、生物的に違う生き物なので、やはり男と女で考え方の違いは出てくるもの。書籍の中では女性の「能力」や「考え方」の違いにフォーカスし、どのような販売方法が「女性」にマッチしているのかを解説していました。
女性は理想の世界に生きている
(女性が求めるのは)本当の自分を取り戻すための魔法
男性は商品を購入する際に「具体的な効果・効能」を手にしようとします。女性も同じかと思いきや全く違い「魔法」を求めていると言います。男性は目標を達成するための「努力」に重きを置きますが、女性はササッと何かをするとパパッと達成できてしまうことに魅力を感じるそうです。
たしかに、女性向けの通販番組を見ていると「飲むだけ」「簡単になれる」といった言葉が飛び交います。通販番組で購入した商品を夫から怒られたという主婦の話も聞いたことがありますが、男性目線で見える現実性やデメリットよりも、商品に対する夢や理想に目がいきやすいということなのかもしれません。
デザインは色にこだわりを
(女性は)色の微妙な違いを認識する
女性は「男性の4倍以上の色を識別することができる」というアメリカの研究結果があるそう。圧倒的に女性の「色彩認識能力」が高いと言われており、同じイラストを見せても認識できる色数に違いが出てくると言います。
バナーデザインをする際「赤」と「赤みのあるピンク」を区別せずにシンプルな作りをするよりも、細かやかな色彩をしたデザインにした方が販売促進には向いているそうです。
また女性は「赤は情熱」や「青は冷静」など「色の持つ意味」も大切にしているそうです。何となくキレイだからと言った、単なる「見栄え」ではなく、文章と色彩をマッチするような配色を意識したいところ。
認知心理学に基づくデザイン
書籍の後半では「認知心理学」に基づくデザインも紹介していました。
ウェブサイトのレイアウトを考える時、見栄えや使いやすさを重視してしまうことがあります。しかし、本来「ウェブサイト」は人間が見るものですので、人間の行動心理や認知方法に基づくデザインをベースにするのが適切なのかもしれません。
例えば、ウェブサイトを見た時、一番最初に目がいくのは文章(テキスト)ではなく一番左上部にある画像。人間の目は「上下の動き」よりも「横の動き」に強いことから、左上部から右上部に視線が動いていくというのです。
普段あまり意識しない人間の行動を紐解いていくと「販売促進」のヒントになるかもしません。
顧客をファンやリピーターにする方法
買った後「使っていない」人は案外多い
マーケターが勘違いやすいポイントとして「買った後に使う」が当たり前だと思ってしまう点。実は、買った後に使っていないケースも多いそうなんです。
書籍では「買った後にきちんと使ってもらえるように促す」「次につなげる顧客フォローをするだけでもファンやリピート率は増える」としており、具体的な手法の紹介が掲載されていました。
お客様との関係ステップ
- 出会い
- 見込み客化
- 顧客化
- 顧客維持
- ロイヤルカスタマー
一般的なマーケティング手法と同様、女性のマーケティングでも関係性を深めるステップが存在すると述べられていました。顧客との信頼関係をどのように構築していくかが重要ですよね。
今すぐ買ってもらう理由作り
- 1月:新春、新年会、乾燥
- 2月:節分、バレンタイン
- 3月:ひな祭り、ホワイトデー
- 4月:新生活、お花見
- 5月:ゴールデンウィーク、紫外線
- 6月:梅雨、ジューンブライド
- 7月:七夕、海水浴
- 8月:夏休み、花火
- 9月:敬老の日、運動会、
- 10月:体育の日、ハロウィン
- 11月:文化の日、七五三
- 12月:冬休み、クリスマス、大晦日
- その他:人気ランキング、オススメ
月ごとのイベントや期間限定のキャンペーンなどで、今すぐ買ってしまう「いいわけ」を作るのが効果的なんだそうです。書籍には、具体的なキャッチコピーのリストも掲載されていました。
ネットで「女性」に売る
本書は、文章やデザインのノウハウがわかりやすくまとめられた書籍となっており、女性特有の考え方や購買心理・購買行動を汲んだ販売促進方法をすぐに実践し、売上向上に貢献できるような内容でした。
販売のみならず、ファンやリピーターになってもらうための仕組みづくりにも踏み込んでいるので、具体的で効果的な方法がたっぷり詰まっている印象です。
本書の構成
- プロローグ(はじめに) シンデレラに物を買わせるには?
- 第1章 女性が見たいもの、見たくないもの
- 男と女の「買い物」は違う
- 女の子はお姫様を夢見る
- 男性と女性では「現実」の認識が異なる
- 「衝動買い」には深い深い理由がある
- 女性はそもそも「悩んでいない」
- 第2章 シンデレラが憧れる世界をつくる
- 考える前の「無意識」に訴える
- 色の微妙な違いを認識する
- 写真や映像で「五感」に訴える
- 理想の自分は金髪の外国人女性!?
- 視線の先は必ず読まれる
- 「一貫性」を欠くと逆効果になる
- 「雑誌」の世界観をお手本にする
- 芸術性よりも「わかりやすさ」
- 読まれなければ「意味がない」
- 飛ばし読みは当たり前
- 兎の角にも迷わせない
- 「シェア」しやすい見せ方にする
- 第3章 女性をトリコにする文章の秘密
- 知りたいのは「専門知識」ではない
- 擬音語・擬態語が女性に響く
- 材料がないと文章は書けない
- 他人の土俵で勝負しない
- 「たった一人」に向けた文章を書く
- 言い換えたら伝わらない
- 顔が見えるような接客をする
- 「不安」があっては買ってくれない
- 数字は直感を裏付ける「スパイス」
- 「空気」を読んだ文体で書く
- パッと目に入る工夫をする
- 第4章 魔法がとけると買ってもらえない
- 感動を設計して「行動」まで誘導する
- 女性を「現実」に引き戻さない
- 効果効能は全力で伝える
- 迷うポイントを残さない
- 女性のお客様に「押し売り」はNG
- 商品の価値イコール自分自身の価値
- お客様の「感想」を最大限に活かす
- 第5章 買い物はいつでも、どこでも楽しい
- リピートの仕組みをまず先に作る
- 繰り返し買ってもらう
- 購入後のフォローの仕組みを作る
- すぐに「行動」してもらう理由を作る
- エピローグ(終わりに) 「本当の価値」を正しく伝える力